アーティスト
ドゥドゥ・ジョップ CD収録曲の解説
アルバムタイトル
父ドラマントラオレに捧げる
1.Fantikaraba ファンティカラバ
もしあなたが頭の切れる男ならば、相手がどんなに大男だって、簡単に倒すことができる。乱暴な力比べだけじゃだめだ、肝心なのは頭を上手に使うことだ。
という意の曲です。
2.Yayoroba ヤヨロバ
デリアンケ(美女に捧げる曲)
アフリカではお尻の大きな女性が美しいとされ、男達にもてはやされる。 男達は、そんなお尻の大きな女性達に魅力を感じてしまう。
という意の曲です。
お尻の大きな女=働き者という意味合いもあります。
3.Jyo Maya ジョマヤ
すべての人々(生命)との共生の大切さを伝える曲。
(例)あなたの肌は白い、私の肌は黒い。だがそんな色など、どうでもよいのだ。
人種の枠を超えて私達は、助け合って生きていかねばならない!
何故、同じ人間同士が殺し合わなければならないのか?
という意の曲です。
4.Lamohoya ラモホヤ
王様に献上するための曲。
その昔、アフリカのすべての地方は、王様によってその地方ごとにそれぞれ統治されていました。そしてその王国に他国の王様が訪れた場合、その王国を統治している王様にその情報がすぐに伝達されました。そして、統治している王様が、その王様に敵対心がなく、友好的であれば、そこへ音楽家を送りこみ、来賓であるその王様に歓迎を意味するこの曲を演奏をしました。
このように、ラモホヤは王様を歓迎するための曲です。
5.Ndimambo ニマンブ―
言葉は選び、紳士的に生きろ。
運命は自分で開くものだ! という意の曲です。
6.Jerenbe ジェレンべ
結婚式に演奏される曲。
この曲は、結婚式の当日に新郎の自宅で演奏される曲です。
例えば結婚式の当日まで、新郎の家族や親族が、お嫁さんのことをあまり知らず、はたしてどんな女性なのだろうと心配でなりませんでした。
しかし、もしもこの曲が、結婚式の最初に新郎の自宅で演奏されたならば、
「皆の者、心配するでない!そのお嫁さんはしっかりした女性だから安心したまえ!大丈夫だよ!」
というメッセージのこもった曲で、この曲を聴いた新郎の家族達はとても安心した気分になり、結婚式は無事に進行していきます。
世襲制音楽家たちは、自分達の担当する村人の家族構成や何世代にも逆のぼる家系図などがすべて頭の中に記憶されています。そのためその女性の家系や育ちなどを簡単に知ることが出来ます。
以上が曲紹介です。
数十年前まで、アフリカには現代のように学校もなく教師もおりませんでした。そのためアフリカの生き字引である世襲制音楽家たちは、自らの歴史や文化、そして思いやりの心などの道徳心を歌や踊りを通じて人々に伝授しておりました。
また彼らは、それらの村々を統治する王様の知恵袋としても重要な役割を果たしておりました。
世襲制音楽家の人たちは、普段は案外無口でおとなしく紳士的な人たちなのですが、いざ演奏が始まると一瞬にしてエンターテイナーとなって曲芸を披露します。
アフリカの生活習慣の中でとても重要な役割を占める儀式や祝賀の宴などといった年中行事では、世襲制音楽家は司会進行も務めます。そのため、その時々の政情や伝染病の危険情報なども歌や舞踊などのパフォーマンスに盛り込み、民衆に最も伝わりやすい形にして伝達しています。
例えて言うなら、新聞やテレビ速報のような媒体として民衆から大変重宝がられています。
世襲制音楽家は一般的には「グリオ」と呼ばれますが「グリオ」という呼び名はフランス語です。
「グリオ」は、アフリカ本来の世襲制音楽家の意味合いとは異なり、多少差別的な意味合いがあるそうです。現地の世襲制音楽家たちの間では、「グリオ」と呼ばれることを好まない人たちもおります。
その理由は、王様に遣えていたような高貴な音楽家もいれば、音楽を演奏して物乞いをしていた音楽家もいたからだそうです。又、占領軍にとって「グリオ」と呼ばれる知恵蔵が、支配の邪魔になったことも事実です。
世襲制音楽家のことはトゥルカ語でジャリベー、ウォロフ語でゲウェル、マンディ語でジャリ、プル語でキャマカラ、セーレール語でカウールと呼ばれています。
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